ふわもこメモ

健康に関するライフハックをご紹介

睡眠負債による老後のしわ寄せ

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徹夜や睡眠不足が体に悪いのは当然でしょう。ところが、最新の睡眠科学では「自分の睡眠時間は足りている」と思い込んでいる人たちが溜め込んだ"ちょっとずつの寝不足"が、歳を重ねてから重大な疾病となって顕在化する。そんな新たなリスクの存在が明らかになってきました。

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徹夜より危険な睡眠不足

毎日1~2時間の寝不足が借金のように積重なり、やがて"債務超過"に陥ると、がん、認知症などをはじめとする重大な疾病を発症させます。
それが「睡眠負債」になります。もともとは米国の睡眠化学の専門家が「Sleep Debt」という用語を提唱しました。それが「睡眠負債」と直訳されて日本で使われるようになりました。
たとえ毎日少しずつであっても、適切な睡眠時間を確保できていないと、脳の機能が衰えるなど体に深刻な問題が起きると警告する意味も含めた言葉です。
徹夜が健康に悪いのは分かりますが、寝不足に警鐘を鳴らす必要があるのでしょうか。
ペンシルバニア大の実験結果では、被験者を徹夜(3日連続)、4時間睡眠(14日連続)、6時間睡眠(14日連続)、8時間睡眠(14日連続)の4グループに分け、脳の認知力を計るテストを毎日実施したところ、6時間睡眠を2週間続けたグループはテストの結果が徹夜明けの被験者と同程度になってしまったのです。
つまり6時間の睡眠では負債がどんどん積み重なっていくわけです。さらに問題なのは6時間睡眠の人には、"寝足りない"という感覚がない事です。
徹夜した人間には"生活リズムを改善しなければ"という意識が生まれるが、6時間寝ていると本人に自覚症状のないまま脳をはじめ体のあちこちにダメージが蓄積されていきます。そこに睡眠負債の怖さがあります。
睡眠と脳のはたらきの関係を調べた実験は数多くあります。たとえば前夜の睡眠時間が4時間以下になると単純作業におけるヒューマンエラーが急激に増える一方、5時間睡眠が2晩連続になると、エラーは4時間以下が1晩の時と同じくらいに増えてしまうとする実験結果があります。睡眠不足は累積してしまうのです。

昼寝が多ければ危険信号

自覚症状がないまま積み重なってしまった負債をチェックする方法として、外の光を完全に遮断した部屋で、時計やスマホなど時刻の分かるものを取り除いた状態を作って眠りに就き、睡眠時間が普段とどれくらい変わるかを調べるという方法があります。この方法でいつもより2時間以上睡眠が長くなる人は、睡眠負債を抱えていると判断できます。
人間の体には必要な睡眠を確保するための「恒常性機能」が備わっています。しかし、睡眠は目覚まし時計や太陽光などによって妨害されてしまうので、睡眠時間を取る前に起きてしまう可能性があります。そうした要因を排除した環境でないと、本当はどの程度睡眠がたりていないのかはは計れません。
ただ、ここまで厳密なチェックをしなくても、週末や予定のない日につい普段より長く寝てしまう人んは、リスクがあるといえます。"負債"を抱えずに済む理想的な睡眠時間について、8時間睡眠が望ましいと考えられていましたが、最近では6時間半~7時間半が最適とする説もあります。やはり最適な睡眠時間には個人差があることも知っておく必要があるでしょう。ただ、睡眠負債を抱えていれば昼間に必ず眠気が襲ってきます。そうした感覚があれば睡眠習慣の見直しを検討すべきでしょう。
人間の体内時計が正常に機能していれば、朝起きてから4時間後が一番覚醒していないといけない。その時間帯に眠気を感じるようなら、睡眠負債を抱えていると考えてよいでしょう。
ちょっとした夜更かしや早起きを繰り返し、適切な睡眠時間が確保できないまま負債が積み重なってしまうと、60歳を過ぎたあたりから、様々な疾病リスクが増大していくことになります。

アミロイドβが蓄積

睡眠負債の蓄積が体内に与える影響の1つにストレスホルモンの増加があります。
慢性的な睡眠不足によってコレチゾールと呼ばれるホルモンが多く分泌されるようになり、これは記憶を司る脳の海馬の働きを阻害します。
また、睡眠中には脳内のアミロイドβと呼ばれる老廃物が排出されていきますが、睡眠不足が重なると排出がうまくいかずアルツハイマー型認知症の発症リスクが高まることが分かってきています。
アミロイドβは、認知症が発症する10~20年前から脳内での蓄積が始まることが分かっています。若い頃の睡眠不足の積み重ねが、高齢になった時の認知症の要因となっている可能性があるわけです。
フィンランドで40~50代の被験者の睡眠時間とその後の認知症リスクを調査した実験では、睡眠時間が7時間未満の人の発症リスクが7~8時間の人の1.59倍だったという結果がでています。
大腸がんの発症リスクは、睡眠時間が長いほど低くなることがわかっています。がんと睡眠負債の関係については解明されていない部分も多く、今後の研究がまたれるところですが、がん細胞などを後継する免疫機能のはたらきに悪影響を与えることが関係すると考えられています。
さらに睡眠負債によって、血圧や血糖レベルが高まるリスクも指摘されています。5時間睡眠の人は8時間睡眠の人と比べて、血中グレリン(食欲を増進させるホルモン)が14.9%増加し、血中レプチン(食欲を抑えるホルモン)が15.9%減少するという結果がでました。
また、国内の研究では、男性約2600人を8年間追跡調査した結果、不眠症状が続くと2型糖尿病の発症リスクが2~3倍高くなるとする結果が出ています。糖尿病は透析治療が必要になったり、合併症を発症したり、生活の質を大きく損なう病です。睡眠不足の積み重ねは健康寿命を大きく縮める可能性があります。

そのスマホいじりがよくない

様々な疾病リスクを生む睡眠負債。週末や予定のない日に寝だめすれば、借金を返済できるかというと、そうではないです。
平日で積み重なった負債を週末で一気に返済しようと無理やり長く寝ると、生活リズムが乱れてしまい、平日の睡眠の質が落ちるなど弊害が大きくなる可能性もあります。
結局、睡眠負債の返済は毎日コツコツが良いです。とくに中高年は、一気にたまった負債を解消することはできないので、少しずつ睡眠習慣、生活リズムを改善していくしかないのです。
また、日中に眠気が生じない、自分にとって適切な睡眠時間を確認する事も重要です。できる限りそれに近い睡眠が確保できるように生活サイクルを設定すべきです。
さらに、睡眠の質を上げることも重要です。スムーズに眠りにつけるようになれば、布団に入っている時間は同じでも実質的な睡眠時間は長く確保できます。布団に入ってからスマホをいじったりすると、自律神経が興奮した状態になり、眠気を催さなくなってしまいます。そのため、眠る1時間前から、スマホはいじらないようにすべきです。
また、就寝の1時間前までに湯船にゆっくりつかる事も睡眠の質を上げるのに有用です。風呂に入ると、深部体温が高まり、その反動で約1時間後に下がってきます。深部体温が下がった時に、眠気が来るのです。
寝る前にカフェインを摂らないといった基本的な事や、起きたらすぐに日光をあびて、メラトニンを増やす事も重要でしょう。

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